きっとこれは眠れない恋の証明。
京にそう言ってもらって、少しだけ肩の力が抜けた。それに終わったことをくよくよとしていても仕方がない。それに最初から京には良い機会だろうといわれていた。
「まぁ対談って感じでは無かったけどな」
「そうだよね…。あっ、そういえば京は羽水社長の事覚えてた?」
京も同じ小学校だったから、もしかしたらと思いそう尋ねてみたけれど、京は考え込むように黙ってしまった。そういえば小学校低学年の頃は私と京は同じクラスになった事がないし、という事はつまり翔君と同じクラスになった事がないという事だ。翔君は確か、小学校3.4年あたりの時に転校してしまった。
「いや、覚えていないな」
「そっかぁ」
翔君は目立つようなタイプじゃなかったし、京が覚えていないことも当然といえば当然。
というかそもそも知らなかったかもしれない。
「それはそうと、
お前の初恋も羽水社長なのか?」
急にそんなことを聞かれて、思わずむせそうになった。
私の初恋…って。
「ち、違うよ、そんな風に見た事なかったし。
それにそんな昔の事、もう覚えてないよ」
「そうなのか。羽水社長はよく覚えているようだったけどな」