きっとこれは眠れない恋の証明。
ちょっと驚いたと言っていたけれど、
こんな時間にまだ私が秘書の京と一緒にいる事、変に思われたかな。
でもわざわざ説明するのもおかしいし。
「電話、砂川さんか」
少し考え込んでいた私に京がそう尋ねる。
「うん。黒瀬君によろしくって言ってたよ」
「…そうか」
「……。」
なんというか、京はなんとなく砂川さんに対して少し愛想が悪い気がするのは気のせいだろうか。…いや、でも京は基本的に誰にでも愛想良いタイプじゃないし、考えすぎかなとも思う。
「明日見て欲しい新人さんがいるみたい。砂川さんが目をつけるって事は期待できるよね、一流プロデューサーだし。若いのに凄いなぁ」
そう言いながらまた席につき、食事を再開しようとフォークを手に取る。
「若いのに凄いのは桜もだろ」
「えっ」
急にナチュラルにそう褒められ、思わずフォークを落としてしまいそうになった。