きっとこれは眠れない恋の証明。
「こんにちは〜。焦った顔してどうしたの?」
そう声を掛けられて、驚いて顔を上げた。
目の前に立っていたのは、見たこともない男性二人組。背が高い上に二人とも着崩したような服装で、少し怖い。
(えっと…私?)
知らない人だったから、一瞬自分が話しかけられている事に気がつかなかった。少し怯んだまま、無視するわけにもいかず返事を返す。
「いえ、別に、大丈夫です…」
「ははっ、大丈夫って顔じゃないよ。
ねぇ、お姉さん一人?」
京と出かけていて、何かの理由で京と離れていたりはぐれたりした時、こうやって同じように知らない人から声をかけられる事はよくあった。
でもいつも、すぐに京が見つけてくれて助けて貰っていた。京の事を見れば、大抵どんなにしつこいような人達でもすぐに離れていく。
「ねぇねぇ、一人?」
「無視しないでよ」
そうやって二人から詰め寄られ、怖くて黙ってしまう。
今日は、一人だ。京はいない。
…どうしよう。