きっとこれは眠れない恋の証明。


「早瀬がいきなりどこか行ったなと思ったら、変な男に絡まれてるし、芝波さんもいるしびっくりしたよ。早瀬、芝波さんを助けに行ってたんだな」

羽水社長がそう言って笑いながら早瀬さんの頭の上に手を置く。

「でもああいう時は女の子が二人揃っても危ないだけだからな」

「…はい」

そう言って早瀬さんが不本意そうに頷いた。昨日はスーツを聞いていて気がつかなかったけれど、こうしてみると早瀬さんはすごく若く見える。
まだ、20歳程なんじゃないのかな…。


「にしても偶然だね。芝波さん、今日は仕事?」

そう尋ねられ、首を横に振った。

「今日は1日中休みで…散歩してたんです」

買い物に行く途中で道に迷っていたんですと正直に言うのは何だか間抜けすぎると、散歩ですとつい嘘をついてしまった。

「お二人はお仕事ですか?」

「いや、俺達も休み。うちの秘書がすき焼き食ったこと無いっていうから、連れて行こうと思って二人でここの近くに来てたんだよね」

そんな羽水社長に、すき焼き食べたこと無いとか余計な事言わないで下さいと早瀬さんが小声で訴える。
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