きっとこれは眠れない恋の証明。

基本的にあまり笑わないけれど、それ以外の表情はとても豊かな所がどこか京と似ている。

そんな早瀬さんは見ていてとても可愛らしいと思ったし、羽水社長もまるで我が子を見つめる父親のような優しい目をして早瀬さんの事を見ていた。

…早瀬さんと羽水社長って、一体どういう関係なんだろう。

ふとそんな事を思った。いや、もちろん社長と秘書という関係ではあるんだろうけど。でも、ただの秘書にそんなに優しい眼差しを向けるものだろうか。

そう疑問に思ったが、そんな事を二人に直接尋ねられるわけもなかった。


「すき焼き美味いだろ。芝波さんも食べて」

「あっ、はい」

羽水社長にそうすすめてもらい、私も箸をのばしすき焼きを口に運ぶ。

「美味しい…!」

(わ、これ本当に美味しい)

どこか甘いすき焼きの牛肉が本当に美味しくて、そんな感想が漏れた。やっぱりすごい社長さんがおすすめするお店はすごいんだなぁと心の中で呟いた。
< 77 / 233 >

この作品をシェア

pagetop