きっとこれは眠れない恋の証明。
ただ、今回のように付き合っていない事を前提として、あくまで確認です、というような深疑問文で尋ねられたのは初めてだ。
「はい、勿論付き合ってません」
当然そう答えると、早瀬さんはどこか安堵したような表情を見せた。
「それじゃあ、恋人はいらっしゃいますか?」.
「いえ、いないです」
「そうですか。じゃあ…」
そうやって質問を重ねようとした早瀬さんを、羽水社長が少し低めの声で名前を呼んで遮った。
「さっきから芝波さんに何聞いてんだ」
「仕事の会食でもないのに、プライベートな事を聞くのはいけない事ですか」
早瀬さんにそう言い返され、羽水社長も思わずといった様子で黙る。確かに驚きはしたけれど、私は全然何を聞かれても構わない。
「全然大丈夫ですよ。沢山質問してくれて嬉しいです」
「芝波さんがそう言うなら…」