きっとこれは眠れない恋の証明。

「どういう事だかわからないって顔してるね」

そう言われて、素直に頷いた。

「芝波さん、昔からずっと黒瀬さんと仲よかったよね。当時から妬いてたんだ、だから覚えてる」

「……。」

羽水社長のそんな言葉に何て返したらいいか分からずに黙り込む。確かに小学校の頃から私は京と仲が良かったし、クラスが違っても登下校や休み時間とか、一緒にいる時間は少なくはなかった。でもそれにまさか、翔君…羽水社長が妬いていたなんて全く気がつかなかった。

というか気がつくわけがない。恋愛的な意味での好意を寄せられていた事すら全くわからなかったのに。

「あの頃の俺は黒瀬さんの恋敵にすらなれなかったけど、今だったらどうかな」

そう言って羽水社長が目を細めて微笑んだ。

「え…えっと…」

口籠って何も言葉が上手く出てこない。

…というか羽水社長、絶対勘違いしてる気がする。私と京はお互いに恋愛感情なんて持っていないのだから、羽水社長と京が恋敵になるとかならないとか、そんな事はあり得ないのに。
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