きっとこれは眠れない恋の証明。
…なんだ。どんなにまともそうな人間に見えても、結局男なんじゃないか。
「俺が君を買わなかったら、君はどうするの?
他の人に声をかけるの?」
「…そうですね」
「お嬢さん、欲求不満なの?」
そんな質問に、カァーッとまた顔が熱くなった。
よ、欲求不満だなんて。
「違いますっ、お金が必要なだけっ、今夜は家に帰りたくないだけ…っ」
勢いよくそんな言葉が滑り出ると、男はしてやったりという風にニコっと笑った。
「じゃあ、俺が君を買おう」
♢
そう言って連れてこられたのは近くのホテルではなく、男の家だった。
都内の高級マンションの一室。
靴や内装、そもそも私のような女をいきなり連れ込める時点で、この男はここに一人暮らしをしているのだとわかった。