きっとこれは眠れない恋の証明。


…なんだ。どんなにまともそうな人間に見えても、結局男なんじゃないか。


「俺が君を買わなかったら、君はどうするの?
他の人に声をかけるの?」

「…そうですね」

「お嬢さん、欲求不満なの?」


そんな質問に、カァーッとまた顔が熱くなった。
よ、欲求不満だなんて。


「違いますっ、お金が必要なだけっ、今夜は家に帰りたくないだけ…っ」

勢いよくそんな言葉が滑り出ると、男はしてやったりという風にニコっと笑った。



「じゃあ、俺が君を買おう」













そう言って連れてこられたのは近くのホテルではなく、男の家だった。

都内の高級マンションの一室。

靴や内装、そもそも私のような女をいきなり連れ込める時点で、この男はここに一人暮らしをしているのだとわかった。
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