きっとこれは眠れない恋の証明。

「そもそも君未成年でしょ。明らか疲れ切ってるし、何か訳ありかなぁとは思ったんだけどね」

その口ぶりで、男は最初から私を抱く気なんて無かったのだと悟った。

じゃあ。
じゃあ何で。

最初からその気なんてなかったのなら何で。


「…帰ります」

「待った待った。抱かないけど買わないとは言ってない」


男の言葉の意味がわからず訝しげな顔で見つめ返す。

結局買うって、身体じゃなく私自身を買うという事?でも、今の日本で人身売買なんてあり得ないし…。


「今夜泊まる所も必要なんだよね?今夜ここに泊めるから、その代わり理由を教えて」

「……。」


そう尋ねられて一瞬どうしようかと躊躇いが過ぎったが、泊めて貰えるという言葉に心が大きく靡いた。それに、知り合いですら無かった赤の他人になら今まで同情されるのが嫌で必要最低限にしか話してこなかった"家の事情"というものも話していいかという気になった。

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