キスの練習 -美容室-
「んっ……んは…んん」
『お客様、どうされましたか?』
「息が出来ないくて、苦し!っ!!」
ちゅっ、
『お客様、何度もお伝えしておりますが、キスをする時は鼻で息をしてください?』
「いじわるしないで…」
…こうなった始まりは昨日の夜のこと。
私の彼氏は美容師さん。
都内のサロンで働いている。なかなか人気な美容師だって彼が自分で言ってた。笑
彼が働いてるサロンは完全予約制で、個室で対応するらしい。その分、値段も張るけどプライベートが守れて、尚且つ、そこの美容師さんは技術もサービスも良いと評判で、有名人がお忍びで通ってるらしい。
最近、私も彼も仕事が忙しく会えない日々が続いている。
お互い仕事が終わって帰ってきたら疲れて寝てしまうので連絡もあまり取れてない。
彼とのトーク画面を開く。
「まじか……」
彼と最後に連絡を取ったのは3日前。
それもデートする予定だった日の前日に仕事が入って、急遽来れなくなったという彼からの謝罪の連絡。
ごめんねと泣いている絵文字を添えて。
そっか……お仕事ならしょうがないね!お仕事頑張ってね!って必死でいい彼女を演じた結果、ごめんねとクマが泣きながら土下座をするスタンプが送られてきて、大丈夫だよ軽快に動くウサギのスタンプをお返しする。そこで会話終了。
クマのスタンプ送ってくるなんて可愛いな、
なんて余裕があったのはその日まで。
お仕事だから仕方ないけど…もう、寂しくて耐えられない!!
「よし!決めた!!」
私、明日、彼に会いにいく!!
私は明日仕事が休み。でも彼は朝からお仕事。
明日の朝、予約しよ〜
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