キスの練習 -美容室-

『お客様、落ち着いてください?』

「はい?」

この状況で落ち着けって言うほうが
間違ってると思うのは私だけですか??

『では、続きを始めますね。』

「ちょっ!っっ!ん~ん!!」

彼の舌が歯をなぞっていく。

ちゅっ、ちゅっ

といやらしい音が部屋に響く。


『ふ、相変わらず下手くそですね。キス。』

「下手くそじゃなくて苦手なんです。」


ムキになって言い返す、


『じゃあ、何回言ったらキスする時は鼻で呼吸することを覚えてくれますか?』

「それは!」

『言い訳が多いですよ?そんな子にはお口チャックも教えないと。』


そういうとまた、優しく唇を重ねる彼。
さっきより極端にゆっくりと、
そして、深く。私の中を探るように、
ゆっくりとゆっくりと甘い音を立てる。

口の中を探られてるうちに、苦しくなってくる。
やばい、息…できない。


「ん~!!んっ!」

彼の胸のあたりを叩くけど、
彼は止める気配なし。
何なら、もっと深いところまで舌を絡ませ始める。


頭がぼーっとしてきた。


もう酸素足りない、、

そんな私に気づいたのか、離れる彼。


『いじわるしすぎちゃった。ごめんね?大丈夫??』


優しく頭をなでてくれる彼の手は温かい。

「ちょっとフラフラするかも…」

『そっか、ごめんね。』


ちゅっ


軽く触れるだけのキス


彼は今どんな表情をしているんだろう。

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