二度目の結婚は、溺愛から始まる
「それは……」
「どんなことでもいい。愚痴でも、弱音でも、何でもいい。椿を支えるのは、他の誰でもない、俺の役目にしてくれないか」
じんわりとした喜びが胸を熱くしたけれど、素直に頷けなかった。
そうしたくないと思っていても、きっと蓮に迷惑や心配をかけ、不安にさせてしまう。
いまですら、蓮に甘え、蓮に甘やかされているのに。
「……いいの? わたし……柾が言うには、厄介事を引き寄せる達人なんだけど」
「不測の事態に対処するのは、苦手ではない。それに……ワガママで身勝手で、面倒な顧客の対応にも、慣れている。手強い相手ほど落とし甲斐があるし、長い付き合いになるものだ」
「そんなに手強いの?」
蓮がわたしのことをそんな風に思っているなんて、意外だった。
「椿を完全に手に入れるには、一生かかるだろうな」
「それって……」
どういう意味、と問い返すことはできなかった。
キスで唇を塞がれて、あまりの気持ちよさにうっとりしてしまい、ほかのことはどうでもよくなる。
車の中でなければ、たぶんいまごろ何も着ていないのではと思われるほど、淫らなキスでわたしを蕩けさせた蓮は、もう一つ要求を積み上げた。
「ほかの男に優しくしてもいいが……キスはさせるんじゃない」
「……キス以外ならいいの?」
ちょっとした冗談のつもりだったが、蓮は真顔でわたしを睨みつけた。
「ここで襲われたいのか?」
「……いいえ」