二度目の結婚は、溺愛から始まる
「せ、セフレっ!?」
「ヤっておしまいなら、そうだろう?」
「や、ヤってって……」
(もうちょっと、別の言い方はできないのっ!?)
「もちろん、一夜の過ちにもしないし、酔っていたなんて、言い訳も認めない。特定のパートナーがいない、お互いに惹かれている男と女が、キスやセックスをする。そういう関係を『恋人』と呼ぶ。ちがうか?」
「それは……ちがわない、けど……」
「椿……ここは、流されるところだ」
腰に腕が回り、広い胸に引き寄せられた。
「蓮、片付けが途中……」
床には、空になった紙袋が散乱している。
「あとでいい」
あっという間に、わたしの意識はパーカーの下から潜り込み、素肌に触れた熱い手の感触に支配されてしまう。
「蓮……」
「考えるのも、あとにしろ」
「でも」
「言い訳も、あとだ」
流されてはいけないと思うのに、唇からこぼれるのは苦痛ではなく快感から生まれる吐息だ。
温かくて優しい手は、着古した服、色気がない下着、無意識にまとっていた拒絶――不必要なものをぜんぶはぎ取って、わたしをむき出しにする。
眼の前にいる人は、元恋人で、元夫で、
惹かれずにはいられない人だった。