パステルピンクの中で
お皿を洗い終えたわたしは、空気がこもってきていることに気がついた。
家を見回すと、どこも完全に窓が閉まっている。
わたしは、窓を開けて息を吸った。
少し強めの風が吹いてくる。
……あっ。桜の花びらが1枚入ってきちゃった。
遠くの景色を見ると、木がパステルピンクの花を咲かせている。
このパステルピンクの景色は、春限定。
春限定の景色を1人で眺めていると、なんだか家にいるのがもったいなく思えた。
「外に出よう」
普段、滅多に外に出ないわたしからしたら珍しいことだ。
いつもだったら景色を眺めても外には出ないけれど、桜を近くで見たい気がした。