脳内毒舌侍①
翌日

普段通り登校したら、何やら女子の視線が痛い。

つーか、目で訴えられてもエスパーじゃないから理解できないっての。

言いたいことは言えばいいのに。
何のための口だ?


「おはよう、凉」

いつも通り声を掛けてきたのは、私の数少ない友人、皇 千璃(すめらぎ せんり)。


「おはよ」

私が挨拶を返すと、千璃は何か言いたそうだ。


「あのさ」

まあ、千璃は言いたいことは言うタイプだ。

「紫藤 誠人に告白されたってマジ?」

…は?

「紫藤って誰?」

…あ!あいつか、「顔面蒼白王子様(笑)」か。

「あーー…そんな奴居たな、まあ、告白?みたいなことはされたな」

賞金いくらなのか告白させたし。

「告白」違いか。


「付き合うの?」

は?んなわけないって。


「付き合わねぇよ。私まだ未成年だし」

あ?千璃なんで変な顔してんだ?

「…まあ、いいや。いやさぁ、凉が紫藤に告られたって噂になっててさ、紫藤のファンクラブってのがあんじゃん?」


知らねえなそんな物好き集団。


「まあ、あるんだよ、ファンクラブ。女の嫉妬っておっかねぇじゃん?気をつけな」

「心配無用だよ、千璃。嫉妬も何も付き合わねぇし」

つーかファンクラブの奴らに顔面蒼白王子様(笑)、もとい、紫藤 誠人? は三千円目的で女子に告白する男だ、と教えてやった方がいいか?


……てか、「王子様」ってマジで何だよ?王子様っつーのは「王族」の肩書きだろ?一般人が王子名乗っていーのか?

「そうだ、凉」

ぐねぐね考えていると、千璃にぽんぽんと肩を軽く叩かれた。

「見てこれ!」

ん、何?





………はぁぁっ!!!

おい、千璃、その手に持ってるのは…!!!


「寄せチケット手に入ったんだ♪二枚」

行きたい!

頑張って「行きたいオーラ」を出す私に、千璃はにへっ、と笑う。

「柳家 小三治 師匠の寄せだよ!!」

マジかおい!10代目柳家師匠の寄せ!?

「私もつれていってください、千璃様!」

もうこうなったらプライドなんかねえぜ、床をかち割るくらいに土下座してもいい。

「もちろん!一緒に行こう!」

千璃様が天使に見える。(天使見たことないけど)
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