脳内毒舌侍①
「凉ー、部活行こう」
千璃の言葉に、私は渋々従う。
私と千璃は剣道部だ。
剣道好きだけど……うざい先輩が一人居るんだよなぁ。
「なあ、五十嵐(いがらし)先輩いると思う?」
こんなこと、千璃に聞いても単なる愚問だよなぁ。
「多分ね」
千璃も、五十嵐先輩が苦手だ。
経験者だからそれなりに強い。けど、私も千璃も経験者だ。ハッキリ言って、私達の方が強い。
それが五十嵐先輩には気に入らないらしい。
とにもかくにも、五十嵐先輩との地稽古は逃げる。バカみてーに小手が痛いんだよ、アイツ。
おおっと、いかんいかん。一応立場は向こうの方が上だから、「アイツ」は駄目か。
先輩には敬意をはらわねえとなぁ。
まあ、めちゃくちゃムカついて耐えらんなくなったら、地稽古で突きを大量にかます。
「こんにちはー、失礼しまーす」
道場に入るときは、一礼。うわ、顧問来てんじゃん。
単純に、加齢臭が……いや、何でもない。