脳内毒舌侍①


「やぁぁっ!」

気勢を発する。


「テっ、メャァッ!」

たっ、ダァンッ。

踏みこみ、手首のスナップをきかせて鋭く打ち込む。

スパァンッ、と小気味のよい音と共に、 はい、一本とった~!


今は地稽古の時間。

相手は1年の女子。背が低いから小手と胴が打ちづらいんだよなぁ。ま、面は上からすぱーんと決まる。

隙だらけだっての。ほら、面がら空きだし。


ピピッ。

タイマーがなった。


私と後輩は向かい合って構え、蹲踞(そんきょ)。時々この蹲踞が超適当になる奴いる。
つかれてんのか知らねえけど相手に失礼だっての。

今日の地稽古の相手は自由。

なるべく 五十嵐先輩から遠ざかる。

ぽんぽんと肩を叩かれた。

「凉、やろ」

あ、千璃。よし、

「「お願いします」」

向かい合って、ペコリと礼。構えて、蹲踞。立ち上がる。

「ハンッ!」

出バナ狙われた、慌てて竹刀で避ける。
危ねっ!


中段に構え、かんっと千璃の構えを崩す。
「やぁぁっ!」

ダァンッ、

「メェェーァァッ」

決まっ……

「ンダァァァァーーッ!」

パァンっ、と、千璃の竹刀が、私の胴で鮮やかに爆ぜた。

チッ、抜き胴なんて、千璃めったにやんないじゃん!

一本とられた。

面金の間からにまりと笑う千璃の目が見えた。



「テェっ!」

小手が来た。よぉしっ!

竹刀を振り上げ、すっと千璃の小手を抜き、そのままがら空きの面に竹刀を叩き込み、

ダァンッ
「メャァーーッ!!」

引き面!


はーい、一本取り返しましたぁ。
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