twilight sinfonia
「……あぶねーだろ。瑠南、一応女だし」
「まぁ……私は女だよ?一応ね、一応。でも別にまだ明るいし大丈夫じゃない?」


『一応』を強調して言うと、捻くれんなよ、と笑われた。


「ほんっと、自覚が足りねーんじゃねーの?
その辺の女より顔はいいんだし、人気出てきたんだし。
気にしろっつーの」


そもそも人より顔がいいなんて思ってもないし、人気が出てきたことに関してはありがたいけど、バレなきゃ問題ないでしょ。


「帰るぞ」
「……わかった」


私の荷物はすでに瀬那の手によってまとめられている。
そしてその荷物は瀬那の手の中。
はなから一緒に帰る気満々じゃんね。


私がメイクする間、少し待ってもらって。
私たちはビルを出ると電車に乗って、家に帰った。


いつも通りの厚底。
ちょっと揺れたらくっつきそうな距離で、ドアのそばに立って。
じっと下を向いているだけの時間がすぎる。
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