twilight sinfonia
「あっ、それでさ。
動くの?筋トレ?体幹?」
「両方」
「私もしたい、何時間?」
「えーっと……1時間半くらいしか時間ないけど」
「あっそうなの?」
「うん、その後また曲やるから」
「そっかー。じゃあ1時間半ね、私もしたい」


瑠南はそう言って自室に入って行った。多分着替え。
俺も重い腰を上げて、部屋に一度戻る。


モヤモヤとした感情がうずまいて、どうしようもないくらいに黒く広がる。


俺は器用じゃないから。
瑠南のことばっかりみて、他のことできなくなるのが怖いから、手放したのに。
これじゃ別れても、一緒じゃん。
何やってんだろ、俺。


「はぁ」


俺は頭を振って気持ちを切り替えると、練習技に着替えて、部屋を出る。
既に下ろしていた髪をくくり上げて、着替えも済ました瑠南が、部屋の真ん中でスマホに視線を落としていた。直立不動。


「ごめん、遅くなった」
「あっ、いーよ、どうせ私は暇だし」
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