twilight sinfonia
《20》
あの日は。
梅雨時で、その日の帰りも土砂降りだった。
周りにまとわりついていた女の子たちに手を振ると、俺は溜息をつきながら傘をさして、屋根の下から出た。
ぴちゃぴちゃと、歩く音が響く。
靴に水滴が乗っかって、家に帰ったら拭かなきゃいけないな、と瞬時に思考が回った。
どうしてどーでもいい女の子たちの相手は全然できるのに、自分から一歩踏み出せないんだろう。
それが俺の昔からの悩みだった。
音楽で食べていきたい。
物心ついたときからずっとそう思っていた。
なのに未だに事務所の電話番号を見つめて1日を無駄に食いつぶすだけ。
ほんと…チキンだなぁ、俺。
ぴちゃ、ぴちゃ……
すぐにわかった。
後ろから走ってくる音。
息を切らしてる。
いつもの誰か。
多分、瀬那か、瑠南、なんだろうな。
今日もまた……。
何回断ったら、こいつら諦めてくれるんだろう。
なんで、俺に目をつけちゃったわけ?
梅雨時で、その日の帰りも土砂降りだった。
周りにまとわりついていた女の子たちに手を振ると、俺は溜息をつきながら傘をさして、屋根の下から出た。
ぴちゃぴちゃと、歩く音が響く。
靴に水滴が乗っかって、家に帰ったら拭かなきゃいけないな、と瞬時に思考が回った。
どうしてどーでもいい女の子たちの相手は全然できるのに、自分から一歩踏み出せないんだろう。
それが俺の昔からの悩みだった。
音楽で食べていきたい。
物心ついたときからずっとそう思っていた。
なのに未だに事務所の電話番号を見つめて1日を無駄に食いつぶすだけ。
ほんと…チキンだなぁ、俺。
ぴちゃ、ぴちゃ……
すぐにわかった。
後ろから走ってくる音。
息を切らしてる。
いつもの誰か。
多分、瀬那か、瑠南、なんだろうな。
今日もまた……。
何回断ったら、こいつら諦めてくれるんだろう。
なんで、俺に目をつけちゃったわけ?