twilight sinfonia
スタッフさんの目が少し散っている今。
お手洗いやらなんやら行ってこいとのお話で。


「待って〜」
「声でかい声でかい、お前目立つ声してるんだからさ。スタッフさんいない時はあんま目立つなって。
収集つかなくなるだろ」


怒られた。


いやでもさ?こんなところで迷子になったらもう戻って来れないよ?
終わっちゃうよ?
そんなのやだよ?また瀬那に怒られるとか怖すぎる、無理だ。


「1人で帰っちゃやだよ?」
「待ってるから」


別れて、お手洗いで用事を済ませると、急いで瀬那の元に戻る。
ちゃんと待っててくれたらしく、スマホを耳に当てて誰かと話していた。


「……あぁ、うん。……今度な。今忙しい時期だからちょっと厳しい。……うん、じゃあ」


お仕事の電話だろうか。
誰だろう。


「お待たせ」
「あ、やっときた」
「うん、誰かと話してたの?」
「まぁな。行くぞ」


……教えてくれない、ということは私の知らない人。かつ、仕事相手じゃない。女の可能性が高い……って。



付き合ってないんだし、言うわけないか。
……あーあ、病んじゃいそう。


その後の仕事はさっきの電話が気になりすぎて、身が入らなかった。
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