熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「うーん。それなら、どうすれば……」
食にうるさい付喪神を満足させる方法など、簡単に見つかるものなのか。
これなら絶対大丈夫!というものが見つかれば良いのだが、いくらなんでも答えに辿り着くには知識が足りなすぎるだろう。
「あ……」
そのとき、あることに気がついた花は、ハッとして顔を上げた。
「花、どうしたんじゃ?」
「というか、そもそも私達三人で悩むより、料理のことなら今の料理長に相談したほうが早くないですか!?」
花の提案に、ぽん太と黒桜が意表を突かれたかのように目を丸くした。
もとより料理に関することに限定するのなら、専門外の四人がここで延々と悩んでいても、答えに辿り着ける望みは薄い。
「登紀子さんのお弟子さんならきっと、虎之丞さんを攻略するヒントを知ってるかもしれないですし!」
「まぁ……確かに、そりゃそうじゃな」
「はい、そうですね。花さん、グッドアイデアだと思います」
ぽん太と黒桜に賛同してもらい、花は益々嬉しそうに胸を張った。
そもそも花は昨日の説明の段階で、厨房を案内はされたのだが料理長に会うことは叶わなかった。