メヌエット ～絵里加

「大学卒業するまで２年。その後、何年で絵里加を養えるのかな。長すぎるよ。」

健吾の真剣な言葉は、絵里加の胸を震わせる。
　
「絵里加だって就職するし。二人なら、生活できるよ。」


健吾に、親と同じ庇護を求めているわけではない。

二人は対等だから。協力して生活すればいい。


絵里加はそう思っていた。

健吾だけが、負担に思うことが辛い。
　


「ありがとう、絵里加。二人が協力すれば早く結婚できるね。」

健吾は、絵里加を働かせることは　考えていなかった。
　

「絵里加のママは、結婚してからも　絵里加が産まれるまでは　働いていたんだよ。仕事帰りにデートしたり、楽しかったって言っていたよ。」

でも絵里加は、平気そうに言う。

「絵里加、良い子だね。二人で力を合わせるって考え、俺にはなかったから。驚いたけど、嬉しいよ。俺、気負い過ぎていたね。」

健吾は素直に言う。


絵里加の意見も柔軟に聞いてくれる。


そんな健吾だから、絵里加は安心できる。


ずっと一緒にいられると思う。
　

「お父様、ケンケンは会社を継ぐ人だから　そのための努力をしてほしいんじゃない。帝王学っていうらしいよ。お祖父様がタッ君に言っていたのを、聞いたことがある。」絵里加は言う。

健吾のことを　考えてくれる絵里加が可愛くて、健吾はフッと笑った。
　
「絵里加もケンケンの奥様として、相応しい人になるからね。」

と照れたように言う絵里加。


健吾の心は、絵里加への愛情が溢れていた。