メヌエット ~絵里加

大学では 健吾と絵里加を中心に 裕介達と陽子達も一緒に 賑やかに過ごす日々が続く。

放課後、みんなで遊びに行くことも増えていた。
 

「夏休み、みんなでどこかに行こうよ。」と真也が言う。
 
「いいね。海とか。葉山の別荘は?」啓太が言う。
 
「人の家の別荘を、自分の物のように。」と裕介が笑う。
 
「別荘、いいけど。私達泊まれないよね。」亜弥の言葉に、女子達は頷く。
 
「葉山なら、日帰りでも大丈夫だよ。みんなで行こうよ。」健吾も笑顔で言う。

大切に育てられている絵里加の仲間。

みんな、絵里加と同じような 箱入り娘達。
 

「でもさ、その前に試験があるよ。啓太、大丈夫なの?」ひとみに言われて、
 
「何で、俺を名指しなんだよ。」と啓太は言う。

みんな、声を上げて笑う。
 


健吾と絵里加も 少しずつ 試験の準備を始める。


休日は どちらかの家で 一緒に勉強する。

リビングでなく お互いの部屋で過ごす時間が増える。


両親達も、そんな二人を黙認していた。


勉強の合間に交わすキスは、だんだん熱くなる。
 


「俺、絵里加の全部を奪ってしまいそうだよ。」

絵里加を抱きしめたまま健吾は言う。

絵里加もすべてを知ってほしいと思う。

ただ、少し怖くて。すべてが初めてだから。
 



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