メヌエット ~絵里加

翌週から始まった、定期試験週間。

健吾と絵里加は 鼻先に人参を下げられた馬のように その後の楽しみを励みに 試験を乗り越える。
 

仲間達も、二人の急な進展を、とても驚いていた。

「ケンケンの家も、絵里加の家も、どっちも経済力があるからね。」ひとみが言う。
 
「二人が結婚することは、両方の親にとっても安心だし。良い話しだよね。」と、陽子も頷く。
 
「金目当てで、健吾に近付いてくる女子とかも いるからね。」裕介が言う。
 
「しかも絵里加は、性格も良いし。」亜弥が言うと、みんなが頷く。
 

「健吾の親は 家の一軒くらい建てても 全然惜しくないと思っているよ。絵里加を嫁にできるなら。」真也も言う。
 

仲間達の、そんな会話を他人事みたいに聞きながら 健吾と絵里加は、グアムのプランを相談している。
 

「しかも、親公認の海外旅行って何。恵まれ過ぎでしょう、二人は。」

啓太に言われて、絵里加はニコッと笑う。
 

「何、今の可愛い笑顔。絵里加のパパ、泣いているよ。」

陽子が呆れたように言う。
 

最近、そんな陽子も 啓太と良い雰囲気になっていた。

啓太は いつも陽子を気にかけていたし 陽子も自然と啓太の近くにいる。


奥手な絵里加の仲間達が やっと恋を意識し始めた。


絵里加達に刺激されて。
 



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