メヌエット ~絵里加

ホテルの前のプライベートビーチで、二人はゆっくりと海に入る。

遠浅で澄んだ水に、二人で浮いて空を見る。
 

「絵里加、日焼けしちゃう。」

強い日差しは容赦なく照りつけて 絵里加の白い肌は ほんのり赤くなっていく。


「夏だからいいよ。絵里加は少し焼けていても、可愛いからね。」

水の中、絵里加の手を取って言う。
 
「ケンケンより黒くなったらいやだな。」

体を回転して、浮かんだ健吾に近付く絵里加。
 
「一緒にいるから、同じだよ。」

健吾も回転して、二人で水の中で向き合う。
 

「絵里加、潜るよ。」

そして一緒に沈んで 水の中でキスをする。

でも苦しくて、すぐに顔を出してしまう二人。


ケラケラと笑いながら。
 

「海の味がしたね。」

と言う絵里加を 「可愛い。」と言って 健吾は抱き寄せる。

「ケンケン。」

と切ない目で言う絵里加に、
 
「今は海から出られないの。」

と健吾は 照れた笑顔になる。
 


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