メヌエット ~絵里加
初めての歓びに、絵里加は戸惑っていた。
健吾と結ばれるまで 少し怖くて うまく応えることができるのか 不安だった。
でも それは甘くて、熱くて、切なくて。
今まで知らなかった歓びだった。
日本に帰って 別々の家で暮らすなんて 無理だと思った。
離れて眠るなんて できないと思った。
健吾も 幸せな達成感に 苦悩していた。
中学生の頃から好きだった絵里加。
やっと思いを届けるまで 長い時間を経て 体も一つになったから。
ずっと待っていたから。
健吾は、心と体を満たされていた。
そして、もう絵里加なしの自分は 考えられないと思っていた。