メヌエット ~絵里加

「だから、絵里加達に理解があるのね。」

絵里加が言うと、二人は声を出して笑う。
 

「なあに。パパとママは理解があるの?」
 
「だって、旅行に行かせてくれたのよ。絵里加達まだ学生なのに。お金まで出してくれて。絵里加、すごく感謝しているの。」


絵里加の素直な言葉に、お祖母様は、
 
「絵里ちゃんが 感謝しているなら いいのよ。いいパパとママで、良かったわね。」

と優しく言ってくれる。


「でも絵里加達、親に甘え過ぎているかなって。ケンケンのお父様は、おうちを用意してくれるし。」

絵里加が言うと、お祖母様は笑って言う。
 

「絵里ちゃんのパパも同じよ。いつまでもママが住んでいた、小さなアパートに入り浸っていて。お祖父様が初台のマンションを準備したのよ。早く引越し、しなさいって。」

「えー。そうなの。パパとママも。やだ、絵里加知らなかった。」

絵里加の驚いた声に、二人は明るく笑う。
 

「その時、絵里ちゃんのママはね 意地を張ったり拒否したりしないで 素直に受け入れてくれたの。そこに住んで、パパの為に努力することが、恩返しだからって言って。」
 

「へえ。ママって偉いね。」

絵里加は素直に言う。

伯母様は、絵里加の言葉に頷いて、
 


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