メヌエット ~絵里加
健吾と一緒の時間は、優しい熱さで 幸せなときめきの時間。
でも、この家族との柔らかい温かな時間も、絵里加は大好きだった。
「来週は軽井沢ね。」お祖母様は言う。
翌週のお盆休みは、軽井沢の別荘で過ごすことになっていた。
絵里加は、思い切って言ってみる。
「絵里加、お留守番じゃ駄目かな。」
お祖母様と伯母様は、母と顔を見合わせる。
「ここに一人じゃ、不用心でしょう。」
と伯母様が言う。
「ケンケンを呼んだら、いけない?」
絵里加は、探るような目で言う。
三人は、やれやれと言う顔をする。
最初に口を開いたのは、お祖母様。
「ケンケンに泊まってもらうなら、いいんじゃない。」
伯母様と母は、ため息をつく。
「そうね。一緒に旅行しているしね。ケンケンと一緒なら 大丈夫じゃない。」
伯母様の言葉に、絵里加は母の顔を見る。
「パパが良いって言ったらね。」母も言う。
絵里加はニヤリと笑って、
「パパもママのアパートに、入り浸っていたんでしょう。」と言った。
「お母様。」と母は言い、
お祖母様と伯母様は、いたずらっぽい笑顔で絵里加を見た。