メヌエット ~絵里加

「そんな。みんな、簡単に言っているだけだよ。絵里加って言えば無難だから。」

と絵里加が言うと、車内は明るい笑いが起きる。
 

「確かに。絵里加は高嶺の花だから。結局見ているだけで、誰も摘もうとしないかも。」

啓太の言葉に、絵里加が言う。
 

「絵里加は普通だよ。でも、絵里加のことよく知らないのに 付き合ってとか言う人 信用できないもん。」

みんなが少し、しんみりする。

絵里加は、いつも ネタにされているような 気がしていたのだろう。
 

「陽子も、絵里加と同じように 優しくて良い子だからね。」

啓太が言う。陽子は照れて俯いてしまう。


「知っているよ。長い付き合いだもんね。」

絵里加が笑顔で言う。健吾も頷く。
 


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