メヌエット ~絵里加

「あの間宮化学の?ご子息様ですか。」

よく見れば、健吾も絵里加も着ている服の格が違う。

靴やバッグ、時計も。

あからさまなブランド物でなく 吟味された高級品なので 知らずに見逃がされる。
 

「はい。」と頷く健吾に
 
「どうりで。上品な二人連れだと思いました。」

40代前半の担当者は 気負うことなく同じ態度で接してくれる。
 

「土地は、先日購入しまして。これから建物を決めるのですが。」

健吾も心を開いて 正直に話す。

土地の場所や広さ 建物の大きさの希望など 聞けば聞くほど健吾達は 良いお客だったと思う。
 

「では、一度土地を見せて頂いて そこに合った間取りを提案したいと思います。道路付や日当たりなどを考慮して。玄関の位置なども、土地に寄って変わりますので。」

担当者の説明は、とても解りやすい。


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