メヌエット ~絵里加
遅めのランチをゆっくり食べて 二人は暑さに デパートに逃げ込む。
デパートの中 ブラブラするのも楽しい。
「あれ、可愛い。絵里加に似合いそう。」
上品なワンピースに、健吾の目が止まる。
「ほんと。可愛いね。」絵里加も頷く。
「買っちゃう?」
絵里加が可愛くて、色々買いたくなってしまう健吾。
「ううん。絵里加 洋服たくさん持っているもの。」
絵里加は、衝動的に乗ってこない。
「いいじゃない。すごく可愛いから。絵里加に似合うと思うよ。試着だけでもして。」
健吾の方が どうしても欲しくなってしまう。
「着たら欲しくなるから。だめ。」
絵里加は堅実で、無駄使いをしない。
「いいよ。欲しくなって。俺が着てほしいの。」
結局、健吾に押されてしまう。
そして試着した絵里加は 本当に可愛くて。
レモンイエローのノースリーブ。
絵里加はフリージアのようだった。
「可愛い。絵里加にピッタリだよ。」
嬉しそうに微笑む健吾。
絵里加も折れてしまう。
「このまま、着て帰ります。」
と言って、タグを取ってもらう絵里加。
健吾は笑顔でカードを切る。
「ケンケン。無駄使いは、今日だけだよ。」
健吾を見上げて 頬を膨らます絵里加に 健吾は笑顔で頷く。
「わかった、わかった。でも絵里加、本当に可愛いよ。」
絵里加も健吾の腕を掴んで ニコッと笑ってしまう。