メヌエット ~絵里加

「今日の絵里加、また可愛くなっている。」

照れ隠しのように 陽子が言う。


黄色のワンピースは 日焼けした絵里加に良く似合い プール仕様にアップにした髪は 絵里加の小顔を強調する。
 

「これ、昨日ケンケンに、買ってもらったの。」

絵里加は、ワンピースを指す。

「似合うでしょう。」

得意気に言う健吾に

「はいはい。陽子にも 今度買ってあげるからね。」と啓太が言う。
 
「いいわよ。真似しなくて。」

と陽子に笑われて 啓太も照れた笑顔になる。
 

二組のカップルになった4人は 今までと少し違う。

お互いに遠慮がなくなり のろ気合ったり イチャイチャしたり。

それも新鮮で楽しい。
 

少し混んだ地下鉄で ドアのそばに立つ4人。

健吾は絵里加を、啓太は陽子を、守るように。


絵里加も陽子も、素直に相手に寄り添う。

甘いときめきに、軽く見つめ合って。
 

「最近ケンケン、カッコよくなったね。」

陽子は啓太と相槌を打ちながら言う。
 
「なんだよ、それ。」健吾はフッと笑う。
 
「余裕の顔になってきた。」啓太も笑う。
 

「絵里加とお似合いだよ。二人からオーラが出ている感じ。」

陽子は真面目に言う。
 
「やだ、陽子。恥ずかしいよ。」

絵里加は、俯いてしまう。
 

「本当だって。絵里加がケンケンを頼っている感じのせいかな。」

真剣に言う陽子に

「頼られると、頑張っちゃうからね。」

健吾は照れて言う。
 

「陽子も、もっと頼ってよ。」啓太が言う。
 
「啓太、頼りになる?」陽子は茶化す。

健吾と絵里加は、ニコニコ笑い
 

「大丈夫、陽子。啓太は頼られると、本気出すから。」健吾が言う。
< 164 / 207 >

この作品をシェア

pagetop