メヌエット ~絵里加

「初めて聞く話し。麻有ちゃん もっと教えて。」翔君が言う。
 

「お兄様はね 銀行で働いていたお姉様に一目惚れして 何度も食事に誘ったの。でもお姉様が 乗ってこないものだから 偶然を装って まちぶせしたのよ。」

母が笑顔で言うと、伯父様は、
 
「まるで見たかのように。」と照れて笑う。
 
「そうなの。お父さんも、案外やるね。」

樹君が言い、みんなが笑う。
 

「でも、お父様だって。お母様と結婚できなければ、家も会社も捨てるって。紀之さんと智之さんも、そういう愛の結晶だから。」

と伯母様の逆襲に合い お祖父様とお祖母様は穏やかに微笑み合う。
 

「なんだ。絵里加の大恋愛は遺伝なのね。」

絵里加の可愛い声に みんなは一瞬静まった後、大爆笑になる。
 

「ケンケン、姫、可愛いだろう。」

樹君に言われた健吾は、

「最高です。俺 絵里加の可愛さが ずっと続くように守ります。」と言った。

照れる絵里加 満足そうな父と母。賞賛の顔の伯父様達。

みんなが温かく 幸せな気持ちになる。
 

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