メヌエット ~絵里加
「毎日が早かったね。絵里加、よく頑張ってくれたよ。」
健吾の胸を熱い思いが溢れる。
出会った頃の絵里加が 健吾の胸に甦ってくる。
同じ制服を着た結子は 絵里加にそっくりで。
健吾は今朝 溢れる愛で結子を抱き上げた。
「パパ、結子 もう一年生だから。抱っこはおうちの中だけにしてね。」
健吾の腕に抱かれて言う結子。
絵里加に似た大きな目で 真っ直ぐに健吾を見つめる。
「結ちゃん、恥ずかしいの?もう抱っこは止める?」
可愛くて 愛おしくて 健吾は苛めてしまう。
「おうちならいいよ。パパも抱っこしたいでしょう。」
ちょっと困った顔で 結子は健吾の首に腕を回す。
自分の子供が、こんなに可愛いと 健吾は思わなかった。
「そうか。じゃ、これからはおうちの中で抱っこしようね。結ちゃん抱っこできないとパパ 寂しいからね。」
健吾が折れて言う。
結子はほっとした笑顔で頷く。
本当は、パパの抱っこが大好きだから。