メヌエット ~絵里加
「結ちゃんに、ケンケンを盗られたわ。」

絵里加が拗ねて言うと、

「待っていてね。今結ちゃん寝せるから。」

と健吾は 結子を寝かし付けて 絵里加を抱きしめた。
 

絵里加もまた 結子が可愛くて。

結子の為にすることは 何も苦にならない。

産後鬱とか 育児ノイローゼと言う人が 信じられなかった。

愛おしくて 一時も離れられないと思った。
 

健吾と絵里加と結子、三人は三人を取り合う。

とても幸せな、愛に満ちた生活だった。


健吾と絵里加の両親は、若い二人の溢れる愛情に驚いていた。
 

「健吾がこんなに子供好きだったとは、思わなかったよ。」

そう言うお父様に、

「可愛くて、可愛くて。娘って、本当に可愛いね。俺、嫁に出すなんて考えられない。絵里加のパパ、辛かったよね。」

お父様に抱かれる結子をあやしながら、答える。
 

「親の気持ちを考えるくらい、結子に大人にしてもらったね。」と笑った。
 

結子は、絵里加に良く似た可愛い顔で 穏やかな 健吾と絵里加の性格を受け継いで みんなに愛される女の子に成長していく。

誰にでも優しくて 聞き分けも良くて。

健吾と絵里加の深い愛情は 結子を真っ直ぐに伸ばす。




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