メヌエット ~絵里加
通学の時間に出発したから、10時過ぎには江の島駅に着いた。
人は多いけれど歩けないほどではない。
二人は最初に島に渡って、江の島神社をお参りする。
細い参道の坂道、健吾と手を繋いでゆっくり歩く。
両側のお店を軽く覗いたり、磯焼きの匂いに “美味しそう” と声を上げたり。
冗談を言って 笑うときは、幼馴染みの健吾で。
切ない目で フッと笑うときは、大人の健吾。
絵里加を 熱くみつめるときは、恋人の健吾で。
絵里加は、泣きたくなるくらい 切なく揺れてしまう。
ずっと知っていた優しい健吾の 絵里加の知らない部分を 全部知りたいと思ってしまう。
そして不安になる。
一緒にいると楽しくて、もっと一緒にいたいと思う。
健吾にも、同じように思ってほしくて。