メヌエット ~絵里加
「でも嬉しい。ちゃんと言ってもらえて。」
絵里加の瞳は、少し潤んでくる。
絵里加も健吾に伝えたいと思う。自分の気持ちを。
でも今話すと、涙が込み上げてきそうで。
絵里加は大きく息をつく。
健吾は愛おしそうに絵里加を見る。
絵里加にとって、すべてが初めてで。
こんな時、どうしたらいいかさえ わからない。
自分の胸の高鳴りに怯え、コーヒーを一口飲む。
健吾は、またフッと笑ってくれる。
絵里加を捉えた笑顔で。
幼い頃の やんちゃな笑顔を思い出してみても 絵里加の胸は鎮まらない。
これが好きっていうことなの、と母に問いかけたかった。