メヌエット ~絵里加
絵里加は大学内でも、目立つ美人だった。
小さな頃から続けているバレエのおかげで、細身で姿勢も良い。
上品で育ちの良い特別な雰囲気と、親しみやすい明るい笑顔でいつもキラキラと輝いていた。
それなのに、絵里加自身は 奥手で臆病だった。
両親のような大恋愛には、憧れるけれど絵里加を惹きつける人がいない。
「あーあ。絵里加も、パパとママみたいな大恋愛がしたいなあ。」
絵里加は、声に出して言ってみる。
亜弥も陽子も、ひとみも頷く。
「王子様って、いないのかなあ。」陽子が言う。
ランチタイムのカフェテリア。
肩を寄せ合うカップルもいるのに。
絵里加達は、食器を片付けて 午後の授業に向かう。