メヌエット ~絵里加
《俺、絵里加のパパとママに、ご挨拶しようか》
絵里加の胸が、ドキンと鳴る。
健吾の気持ちが嬉しくて。
《ケンケン、いやじゃないの?》
絵里加は少し、涙汲んでしまう。一人なのに。
《平気だよ。絵里加を大切にしたいから》
《俺と出かける度に、絵里加に 嘘つかせたくないし》
絵里加の目から、涙が流れる。
《ケンケン、ありがとう。すごく嬉しい》
《絵里加、セッティングできる?突然だと驚くでしょう》
《頑張る。パパとママに会うケンケンに比べたら、平気だよ》
《ありがとう。俺も、みんなに認めてもらいたいから》
健吾の言葉が嬉しくて、涙を流しながら絵里加は返信する。
《ケンケン、会いたいな》
《俺も会いたい。明日も会おうね》絵里加は笑顔になる。
《やった!》笑顔の絵文字を送ると
《絵里加、何時なら出かけられる?》
絵里加が、過保護なほど守られていることは、健吾にとっても安心なこと。
《今日、一日出かけたから。午前中は家に居たいな》
《じゃあ、一緒にお昼食べようか。その後で、絵里加の家に行くね》
何もかも、絵里加を尊重してくれる。
《ごめんね。絵里加のわがままで》
《全然だよ。俺も、少しでも一緒にいたいから。同じだよ》
絵里加は、また涙を流す。
何故泣いているのか、自分でもわからずに。
幸せで、健吾の思いやりが嬉しくて。
そういう時に涙が出ることを、初めて知る。
明日の約束をして、おやすみをする。
また会えると思っただけで、心が弾む。
絵里加にとって、全部が初めてだから。