メヌエット ~絵里加

健吾とのLINEを終えて、リビングに降りていく。

父と母が、ソファでお茶を飲んでいる。
 

「あら、絵里ちゃん。まだ起きていたの。」母の言葉に
 
「まだ11時前よ。絵里加、小学生じゃないからね。」絵里加は笑う。

自分のお茶を入れて、母の隣に座る。
 


「あのね。絵里加 今日 海に行ったでしょう。陽子達とって言ったけど、嘘なの。絵里加 好きな人ができたの。その人と一緒だったの。ごめんなさい。パパ、ママ。」

絵里加は、途切れがちに言う。でもちゃんと両親の顔を見て。
 

「よく話してくれたわね。ありがとう。どんな人なの?」

母は、それほど驚かない。多分気付いていたから。


「パパとママも知っているかな。幼稚舎から一緒だった、間宮健吾君。」

今度は、一気に言う。父と母は、顔を見合わせる。

二人の間に、ほっとした空気が流れたことに 絵里加は気付いていた。
 


「ケンケンよね?渋谷に住んでいる。」母は覚えていた。

小学生の頃 いつも一緒に下校していて 絵里加は 家でも健吾の話しをしていたから。
 


< 43 / 207 >

この作品をシェア

pagetop