メヌエット ~絵里加
中学生になった絵里加は、少し大人っぽくなって 特別なオーラを放っていた。
ただ可愛いだけでなく、キラキラと輝いていた。
誰かに呼ばれ、長い髪を揺らして振り返る姿。
大きな目をクリクリ動かして、話している姿。
笑ったり、頬を膨らませたり、表情が豊かで 一度絵里加を見てしまうと 目が離せなくなる。
クラスは別々になってしまったけれど 絵里加は 学校で健吾とすれ違う時 “ケンケン元気?” と手を振ってくれる。
そんな日の健吾は、一日中ほのぼのとした気持ちで過ごせる。
遠くから姿を見るだけでも、健吾の心は温かくなる。
逆に、一度も絵里加の姿を見かけない日 健吾は寂しさで 無口になってしまう。
校庭や廊下に 絵里加の姿を捜してしまう。
健吾は、絵里加に恋をしていることに 徐々に気付いていった。