メヌエット ~絵里加

二人が高校生になると、男子校と女子校で学校が離れてしまう。

絵里加の姿を見ることができない毎日は、とても寂しくて 健吾の心は穴が空いたようだった。
 

家が近く 二人とも渋谷駅を利用していたから 時々、駅で会う事もあった。
 

「ケンケン、久しぶり。学校はどう?」

相変らず陽子と一緒の絵里加は、気軽に声を掛けてくる。

健吾の気持ちも知らずに。
 

「男子ばっかりで、むさ苦しいよ。絵里加達はどう?」

健吾は答える。幼馴染として。
 
「絵里加達は、全然、変わらないよね。外部生は派手な子もいるけど。」

絵里加の答えに安心する。

絵里加の雰囲気が 前と同じように 何の曇りもないから。

どんどん、澄んだ美しさを増していたから。
 


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