メヌエット ~絵里加
健吾は、高校1年の夏休み 海で声をかけた女の子と 一夜限りの体験をした。
裕介の家の別荘が葉山にあり 小学校からの仲間4人で泊まりに行く。
日中、海で遊んで、近付いてきた女の子達に声を掛ける。
女子達は、簡単に付いてくる。
お互い、フルネームも教え合わないアバンチュール。
でも、その経験は 健吾に少し余裕を与えた。
女性を知った自信。
体だけの関係なんて、簡単に結べると思った。
だから余計に絵里加を求めてしまう。
体だけでなく 絵里加のすべてを 自分が守りたいと思った。
簡単に手にはいる女の子とは違う。
ずっと好きな絵里加と、結ばれた時のことを思ってしまう。
翌年もその次の年も、裕介達と 夏の冒険を楽しんだけれど どの相手とも もう一度会いたいとは思えなかった。
簡単に体を許す相手と 本気で付き合う気にはなれない。
ただ、自分の経験値を高める為だけの行為。
虚しさは、さらに絵里加への思いを強くした。