メヌエット ~絵里加

その後ひとみが来て すぐに陽子も来る。

二人とも、絵里加に“可愛い”を連発した。


ひとみは、バイカラーのペンケースを。

陽子は、明るい色のネイルセットを 絵里加に渡す。


絵里加の喜ぶ声を、後ろで聞いていた健吾が、
 
「今日は、絵里加が主役だね。」と笑う。 
 
「ケンケンには、いつも絵里加が主役でしょうけどね。」ひとみが、振り返って言う。
 
「妬くなよ、ひとみ。」啓太に言われ、
 
「妬いてないわ。絵里加は、私達にとっても主役だもの。」

ひとみは笑顔で言い返す。
 

絵里加達4人のグループに 健吾達が加わって 華やかになった仲間達。

みんな気が置けなくて、楽しくて。


温かく見守られている安心感。

母が言っていた特別な人達だから。選ばれた人達だから。


一緒にいるみんなが、安心していられる。

そして 他の学生達は 健吾達と絵里加達のグループを 憧れの目で見ている。

豊かで華やかで。みんながそれぞれに美しくて。


近付きたいと思っても、安易に近付けない。



特別な人達とは、すべてが違うから。

 


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