花を愛でる
夕焼けが傾き、雲はオレンジ色に染まり蜩の切ない鳴き声が響く帰り道、出来たてのカップルがあるく。いつもなら口数は多い方では無いが、更に口数が減る。今日の天気や来週の球技大会の自分のクラスがやる種目、それだけ。「うん」と「そうなんだ」しか交差しない。
櫻子は嬉しさと悲しさの狭間で思った様に話せない。そうこうしている間にお互いの家に着いた。櫻子の家を道路を挟んで目の前が悟瑠の家だ。「それじゃまた明日ね」「うん」

「ただいま」台所から「おかえりなさい」母の優しいこえがした。櫻子は自分の部屋に上がり、机の引き出しにあるスマホに電源を入れた。
LINEを開きトーク歴の1番上の「実梛ちゃん」を開いた。実梛はバレー部で櫻子の1番の友達で小学生からの付き合いである。その実梛に悟瑠との事をメッセージに送った。練習で帰りが遅いので、返信を待つ間泣いたり考えたりした。
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop