花を愛でる
暗く静かな部屋にバイブ音、小さな光が点滅し始めた。ベッドに寝そべる身体をゆっくりと起こし、電話にでた。「櫻子大丈夫?」実梛の声がした。「大丈夫、一応嬉しい事だし」「断りなよ」「でも…好きだし」「櫻子は不祥事を起こさなくても、上司のご機嫌次第で首になる会社に就職する?」「それは…」何も言えず黙り込む櫻子。「私は付き合って欲しくない、いきなり終わりを突きつけて、あたかも櫻子よりも良い子がいる前提だし」分かりきった言葉を並べる実梛。それでも優先したい気持ちがある櫻子。