悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
プロローグ
窓の外からは、群衆の騒ぐ声が聞こえてくる。
「皇妃を殺せ!」
「レオンティーナを殺せ!」
「レオンティーナは、ヴァスロア帝国の恥だ!」
高い塔のてっぺんにある堅固な牢の中、壁にもたれるように座り込んだレオンティーナは外の声に耳を傾けた。
かつてはヴァスロアの真珠とうたわれた美貌も、牢での苦しい生活のためにすっかり衰えている。
やせ細った身体、艶を失い、ぱさぱさとした髪。鏡はないから、今自分の顔がどうなっているのかはわからない。
それでも、レオンティーナは自らを省みたりしなかった。
(……うるさいわね)
ここまで群衆の声は届くけれど、レオンティーナにとっては騒音以外のなにものでもない。
(私を殺せって、明日には処刑されることが決まっているのに馬鹿じゃないの?)
十七で皇妃の座についた、名門バルダート大公家公女レオンティーナ。
だが、その結婚生活は、幸せなものとは言えなかった。
(お父様も戦死した。お母様も亡くなった……アンドレアスも処刑されたとソニアが言っていたわ)
二歳年上の夫アンドレアスは、レオンティーナには興味を持たなかった。
「皇妃を殺せ!」
「レオンティーナを殺せ!」
「レオンティーナは、ヴァスロア帝国の恥だ!」
高い塔のてっぺんにある堅固な牢の中、壁にもたれるように座り込んだレオンティーナは外の声に耳を傾けた。
かつてはヴァスロアの真珠とうたわれた美貌も、牢での苦しい生活のためにすっかり衰えている。
やせ細った身体、艶を失い、ぱさぱさとした髪。鏡はないから、今自分の顔がどうなっているのかはわからない。
それでも、レオンティーナは自らを省みたりしなかった。
(……うるさいわね)
ここまで群衆の声は届くけれど、レオンティーナにとっては騒音以外のなにものでもない。
(私を殺せって、明日には処刑されることが決まっているのに馬鹿じゃないの?)
十七で皇妃の座についた、名門バルダート大公家公女レオンティーナ。
だが、その結婚生活は、幸せなものとは言えなかった。
(お父様も戦死した。お母様も亡くなった……アンドレアスも処刑されたとソニアが言っていたわ)
二歳年上の夫アンドレアスは、レオンティーナには興味を持たなかった。
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