悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
第一章 よみがえった悪女な皇妃
(……あぁ、私は死んだんだ)

 闇の中から意識が浮上してくる。レオンティーナは大きく呼吸した。

(……ん?)

 首を切られたはずなのに、なんでまだ生きているのだろう。
 覚えているのは、首に押しつけられた刃の冷たさとその次の真っ暗な世界だけ。
 起き上がったレオンティーナは、周囲を見回す。
 ベッドの周囲を囲うのは、濃い茶色に金糸で刺繍を施した垂れ布だ。
その隙間からわずかにのぞくのは、 温かなオレンジ色のカーテンと床に敷かれたベージュの敷物。勉強机に置かれた花瓶には、白い薔薇がいけられている。

(……これは、この部屋は)

 ここは、子供時代を過ごした子供部屋だ。
 レオンティーナが十二歳になった年に、大人の部屋へと模様替えしてもらったが、勉強机は模様替え以前に使っていたものだった。
 床に降り立ち、自分の身体を見下ろす。レースとフリルをふんだんにあしらった寝間着は、たしかに子供の頃、好んで身に着けていたものだった。
 ベッドの周囲を描こう垂れ布を跳ね上げて、部屋の壁にかけられている鏡に駆け寄る。
覆いを外して 鏡を見つめ、呆然とした。
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