悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
第五章 夏の思い出
今年、レオンティーナは十二歳の誕生日を迎えた。
ケルスティンの命を救ったのはともかくとして、その後アンドレアスとの縁談は断ったということは、皇妃とは距離をあけたいという意思表示ともとられかねない。
あのまま都に残り、ヴィルヘルムとの仲が噂されるようになれば、皇妃を敵に回す可能性も高かった。
そんな事情から、レオンティーナはバルダート領に戻ることになった。だが、戻ったのはレオンティーナだけ。
母は父の側を離れたくないらしく、ロアにとどまることを選んだ。
三か月に一度、両親がそろって領地に戻ってきて親子の時を過ごす。貴族の家庭では親子が別々に暮らすというのは珍しくないし、心が繋がっているので問題ない。
父はレオンティーナの成長をことのほか喜んでくれ、まだ十二歳でありながらも、ある程度領地のことはレオンティーナの采配に任せてくれていた。
家庭教師から受ける講義が終わったあとがレオンティーナの自由時間だ。その自由時間を使って始めた新しい研究も、近い将来形になりそうだ。
自室で研究成果に目を通していたレオンティーナのところに、ソニアが銀のトレイに載せた手紙を持ってやってきた。